Hystoric Glamour ミツキの私情価値 vol.8

ヒステリックグラマーがもっと好きになる

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Hystoric Glamour ミツキの私情価値 〜HYSのトリセツ〜

ヒステリックグラマーの
6ポケットスクラッチカーゴパンツ

ミツキのどこがイイの?買い説

ワードローブに不可欠な
男の基本パンツ

“お洒落は足元から”とよく言ったもん。それを司る靴はもちろんですが、むしろパンツが重要~。編集稼業も25年……その間、さまざまな流行を見てきたけれど、“トレンド”とか“今っぽい”を体現するのって、だいたいパンツのシルエットなんだよね。2000年代初頭、セレブジーンズとかプレミアムデニム、なーんていうというワードとともに流行したシルエットはとにかく細身。股上もとにかく浅くて、しゃがむとケツの割れ目がチラリ状態(笑)。スキニーって言葉も市民権を得ましたよね。で、2010年代はトム・ブラウンが寸足らずでオールデンを履いて登場し“クロップド丈”に。それに伴っていわゆる“股ゆる先細”のテーパードシルエットが主流となりました。しばらく細身が続くな~とも思ったらその反動で昨今は太パンに……。簡単に20年の変遷を振り返ってみるとこんな感じ。当時カッコよかったシルエットも、時が経てば古臭くなり……また逆にまた見直されてフレッシュに感じたりする。そんなループを繰り返しながら“今っぽさ”が生まれているのだ。でもね、自分のスタイルを持った賢者は、いわゆる“トレンド”には左右されない“不変”のシルエットを知っている。デニム、軍パン、グレースラックス、この基本パンツを基本のシルエットでワードローブに欠かさない。基本パンツを知らないやつに限って、細身だの太身だの……あーだこーだと騒ぐんだよね~。流行りを取り入れたいなら基本パンツをベースに“つまみ食い”すればいい、というのがミツキの私情価値。じつはHYSには“美脚を前提”にした不変パンツが揃っていて、中でも軍パンは毎シーズン楽しみの一つ♪ オーラがあって長く愛せて、“ココでしか買えない!”が詰まっている。今回はそんなヤミツキミリタリーについて、買い説していきたいと思います。

軍パンの代名詞
M-65カーゴパンツ

HYSのミリタリーアイテムは変化球が多い。米軍以外の名作をピックアップ、ミリタリーに精通した作り手が機能的なディテールを編集しHYSのデザインワークを交えて創作する。でもね、今回のミリタリーは軍パンといえばのド直球、カーゴパンツなんであーる。カーゴパンツといえば、モッズパーカで知られるM-51フィールドパーカとセットアップで着るM-51オーバーパンツ。オーバーパンツとはその名の通りパンツの上に着るパンツ。だからシルエットはもともと太い。その後コットン100%のM-51からコットン×ナイロン素材へと変更したM-65パンツが最もポピュラーな存在、マルタン・マルジェラが愛したことで知られるフランス軍のM-47パンツと双璧を成す、6ポケットと呼ばれる軍パンの基本のきだ。そんな名作を、“とにかくていねいに”作り上げたというのがブッ刺さりポイント! フライトジャケットの名素材であるモールスキンをフィールドパンツへ、という名ブレンド術もさることながら、上質な細番手の糸を3本引き揃えて(3本の糸をまとめて1本にすること)織ることで、強度がありながら軽量という相反する要素を実現。しかもパッチワークのように生地を繋ぎ合わせるという、なんとも手の込んだ贅沢な作りなのだ。またステッチングも2本針に3本針と、箇所によって微妙に変えたりしちゃってね。より立体感を感じさせるUSED加工によるアタリや糸のほつれ具合など……細部まで計算し尽くし表現した着古し感。これほど手間のかかった軍パンは他にあります?ってくらい、穿いて楽しむ前に見て楽しめる、プロダクトとして美しい。で、穿いてみると美脚前提の不変なストレートシルエット、遠目で見ればパッチワーク感もこれ見よがしでなく、その軍パンどこの? リメイクしたの? なんて、他との違いを嫌味なく主張。ミツキの私情価値的にはエンジニアド・ガーメンツのパッチワークジャケットにこのHYSのスクラッチカーゴがベーシックアイテムのリメイク2大傑作と言ったところでしょうか。巷の量販店にある1シーズン限りのインスタント品とは真逆、極美USEDやデッドストックを血眼になって探す必要もない。不変のベーシックを“とにかくていねいに”。HYSのモノ作りの真骨頂ココにあり!な10年軍パンなのです。

100字で語る
M-65パンツとは

1951年に採用されたM-51パンツの後継として1965年に制式採用。変更点はコットンにナイロンを混紡し、より機能的になったこと。デニムの5ポケットに対し、6ポケットの象徴として最もポピュラーなミリタリーパンツだ。

フロントのトップボタンまでもしっかりオリジナル。ミリタリ―ボタンの風合いまでをもしっかり再現している。こんな細かな仕事まで“ていねいに”。これぞHYS流のクリエイ ションであり、本物を凌駕する所以なのだ。

ジッパーだってオリジナルで制作。作れるモノは既製品でなく、すべてを自前でナットクのいくプロダクトを作る。ジップの古びた感じ、TALONを思わせるHYS刻印など、ミリタリー好きにはたまらずニヤリなワザが潜んでいる。

通常モデルに素材はコットン×ナイロン仕様だが、HYSモデルは上質感を表現するため、オリジナルのモールスキンが使われている。その素材をベースに、デニムの加工のごとく着古し感をプラス。ナチュラルな出来栄えはさすがの一言。

ミツキのどう着こなすの?解説

大人の外しに使えるキレイ目ニットとの相性は
バツグンなのだ♪

ご覧のようにベーシックなタートルネックに合わせてみよう。イイ感じに脱力感を生んで、肩肘張らない週末スタイルが完成する。黒やネイビーの基本色にもバッチリだが、オリーブの色を拾って合わせるとなおフレッシュに。

ベリーアメリカンな着こなしにも
絶大なる安心感♪

ダウンベストにチェックネル、そして軍パンというベーシックな着こなしは、いつの時代も不変。ご覧のように遠目ではパッチワークも悪目立ちせず、ていないなクラフト感が独特なオーラを放ってくれるのだ。

ITEM INFORMATION

6ポケットスクラッチカーゴパンツ

4万9500円(税込)

Begin ファンベースラボ/ ディレクター
ミツキ

1977年生まれ。ワールドフォトプレス『monoMagazine』編集部を経て2006年に世界文化社(現・世界文化ホールディングス)入社。以来『Begin』一筋で主にファッションを担当。2017年~2021年まで同誌編集長を務める。現在はメディアをまたいで新規事業開発に注力。

“中坊マインド” を座右の銘に、既存の出版ビジネスを超えた制作チーム「ファンベースラボ」を率いるディレクターとして奮闘中。