Hystoric Glamour ミツキの私情価値 vol.2
ヒステリックグラマーの
13スターボタンピーコート
ミツキのどう着こなすの?解説
軍パンに合わせてミリタリー×ミリタリーでもアクがないのが魅力
軍パンに合わせたってご覧の通り。ダッフル同様にピーコートも品のいいデザインだから、ミリタリー同士も合わせでも難なくOK。ネイビー×カーキ×ベージュのベーシック3大カラーにイエロー一点差しがとにかく効く!
カジュアルパンツも部屋着感を払拭する。これぞピーコートの力
スウェットパンツにアウトドアの名アイテム、フリースベストを合わせたってご覧の通り!品よく仕上がってしまうのがピーコートが持つ着回し力!足元にカラーを効かせて、大人なカジュアルスタイルが完成しちゃいます。
ボトムをブラックに統一すれば途端に大人っぽく
ボトムのトーンを抑えれば、ダブルの紺ブレを羽織っているかのように、ドレス感が出るのもピーコートの魅力。ネイビー×ブラック×グレーとシックなトーンで品よく仕上がる。マフラーなどの小物で色を差してあげるとより効果的。
Begin ファンベースラボ/ ディレクター
ミツキ
1977年生まれ。ワールドフォトプレス『monoMagazine』編集部を経て2006年に世界文化社(現・世界文化ホールディングス)入社。以来『Begin』一筋で主にファッションを担当。2017年~2021年まで同誌編集長を務める。現在はメディアをまたいで新規事業開発に注力。“中坊マインド” を座右の銘に、既存の出版ビジネスを超えた制作チーム「ファンベースラボ」を率いるディレクターとして奮闘中。
ミツキのどこがイイの?買い説
毎シーズンアップデートする“P”remiumなピーコート
服好き、モノ好きにはやたらとこだわる数字がある。ブルックスブラザーズのBDは“6ボタン”、VANSオーセンティックはヒール部の“3本ステッチ”、バブアーはタグに付く“2ワラント”……といった具合に。これは何かといえば、古き良きディテール。長く愛され価値のある永世定番では、年代識別の記号にもなる。ヴィンテージを愛する定番識者たちは、この数字によって年代を把握し、そこに価値を見出すのだ。 で、今回買い説するピーコートも何かと数字によって語られることが多い定番コート。“10ボタン”といえば、前立てのボタンの数を表し、USネイビーにおいて、1910年~1930年代に作られたモノを差す。前立てが“8ボタン”となれば1940年代以降のモノとなる。そしてもう一つが“13スターボタン”。これはボタンそのものに付いた星の数を表し、先述した“10ボタン”の中でも1930年代以前に作られた高値で取引される希少なモノを差す。 なーんて蘊蓄を並べてみたけれど、以上がピーコートの基礎知識。初めて知ったよ~って方もいると思いますが、アタクシ、その昔は、このような知識をとにかく頭に詰め込む“好きを極めるレッスン”に励んだもんです(笑)。で、“本物”=“ヴィンテージ”をしっかり把握すると、各ブランドのデザイナー&企画者が狙う、作り手の“想い”や“アイデア”というのが見えてくる。もちろんヴィンテージは尊きモノ、だけど、今着られなきゃ意味がない。本物を理解し、どう“今カッコイイ”モノとしてエディットしているかが重要。そんな作り手のメッセージが見て取れるベーシック服を見つけるとたまらなく嬉しくなる。それこそがベーシックアウターに求めるミツキの私情価値なのだ。
100字で語る
ピーコートとは
「英国海軍の艦上用コートとして誕生したメルトン地のコート。のちに米海軍にも採用された。名称の“P”は錨を表すpeaとオランダ語で織物を意味する“pij”からという説がある」
というわけで、長らくHYSのピーコートを見てきたけれど、もう何年ぶりだろう。ここ最近は“10ボタン”=“ロングコート”のモデルをリリースしていたけれど、ショート丈で、より着やすくなった“8ボタン”モデルの登場は久しぶりな気がする。シルエットもタイトではなく不変のレギュラーフィットで、MORE!長~く愛せるモデルとなったのも◎です。今季もミリタリー出自のアウターが揃う中、N3-BやMA-1といったナイロン系ではなく、ダッフルやピーコートなど、ウール系が欲しくなっちゃう!という声が多数。私の周りの感度の高い業界人も、久しぶりにピーコートを新調したよ、という方が後を絶ちません。それは、コロナ禍に入りすべてがリセットされ、無駄はとにかくNO!本当に必要なモノに需要が高まる中、アウターに関しても、より有益なベーシック、オンオフ着回せる万能力を求めている時代感からなのでしょう。 で、このHYSのピーコート、先述した基礎知識から紐解けば……前立ては“8ボタン”の40sモデル、そしてボタン自体を見れば“13スターボタン”で30s以前の“10ボタン”の仕様となる。そう、違う年代のディテールをあえて掛け合わせ、ヴィンテージには存在しない唯一無二のカタチを作り出しているんですね。まずそんな作り手の“狙い”を感じてニヤリ♡で、羽織ってみると、見た目の重厚感に反してめちゃくちゃ軽い‼40sのヴィンテージのメルトンを糸の段階から研究し、ガッシリとしたヘヴィな風合いはとことん再現。そこにナイロンをブレンドした独自素材は、軽量でありながら堅牢性も◎も実現しているのだ。今、毎日のようにこのコートを愛用してますが、周りの洋服のプロたちから“それデッドストックすか?”とよく突っ込まれます。服好きにとって“それどこの?”と聞かれるってこの上ない“悦び”(笑)。そのたびに“いや、これHYSの定番でさ~”と応えれば、“えーっ!?”と驚嘆。イチから徹底的に開発した素材の表情は、服飾のプロたちがヴィンテージと見紛うオーラを放っている。考えてみれば、HYSでまったくグラフィックがないモデルというのも珍しい。装飾ナシでモノ作りの真髄が詰まった代表選手。向こう10年長く愛せる今“本物感”ある№1のピーコートといえます。
巻き物なしでも寒さをしのぐチンストラップ
首元から風の侵入を防ぐ大きめの衿とチンストラップをしっかり装備。このモデルは“8ボタン”で1940年代のNAVYモデルをモチーフにしているが、1950年代以降になると、チンストラップも省略される。衿も立てやすくニュアンスがつけやすいのも◎。
べヴィなメルトンの素材感を再現。細部までこだわるのがHYS流
ウールにナイロンを混紡し、軽くて丈夫な素材を開発。ボタンは“13スターボタン”だ。この星の数はアメリカが独立宣言したときの州の数を示している。ヒスガールをあしらったオリジナルデザインもHYSらしい遊びだ。ポケットの内側はしっかりコーデュロイ仕様。