Hystoric Glamour ミツキの私情価値 vol.10

ヒステリックグラマーがもっと好きになる

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Hystoric Glamour ミツキの私情価値 〜HYSのトリセツ〜

ヒステリックグラマーの
トライアングルウーマンワッペンPコート

ミツキのどこがイイの?買い説

今年も暖冬、もはやアウターではなく
インナーで調整する時代

1週間で気温が10度も変化⁈するなど、相変わらずよくわからない天候です。今年も“暖冬”ですね、なんて天気予報士の声はよく聞けど、何だか暖冬と言い始めて早10年くらい……もはやニッポンの冬は暖かいが当たり前、と認識したほうがイイでしょう。
で、毎シーズン悩むのがアウター選び。北海道やスキー場に行く以外、街でダウンジャケットはオーバースペック……な状況下、軽くて機動力あるモノをチョイスするってのがミツキの私情価値。アウターは室内&電車内ではサッと着脱できてかさばらないモノが◎!真冬でも通勤電車で汗ばむこともありますから(苦笑)。
今はインナーダウンをはじめとする機能的なミッドレイヤーが充実していますからね、ニッポンの冬はINするウェアで調整するのが得策。レイヤードで着こなしも立体的になるから一石二鳥です♪
そんな中、HYSのコレクションですんごいアウターをめっ~けた♪というのが今回の紹介するピーコート。未だ左腕に付いたワッペンのダウンに魅せられているコンサバ連中を鼻で笑える!袖に三角ワッペンがランドマークのコイツ。ミツキがこのアウターにブッ刺さった理由を買い説していきたいと思います。

“10ボタンピーコート”が
感涙の進化を遂げたのだ⁈

モノ好きであれば‟旧式の吊り編機”や‟吊り裏毛”という言葉を耳にしたことがあるでしょう。これは、デニムでよく言う旧式シャトル織機の編み物版です。1時間に3mほどの超絶スローなスピードで生地が編まれていきます。だから生地に余計なテンション(ストレス)をかけることなく柔らかくて気持ちのいい素材を作り上げる。大量生産という名のもとに姿を消し、現在は産地である和歌山にわずかに残る貴重なマシンなんです。現在のフツーの裏毛は、大量生産を目的に作られたモーターをガンガン回して、少ない時間でたくさんの生地を編むマシン。生産性はUPするけれど、生地の表情が画一化され無機質なモノになってしまう……。デニムと同様、今ヴィンテージと称されるスウェットはすべてこの旧式マシンで編まれていたから、味わい深~い生地を生む編み機が、服飾のプロの間で重宝されているわけです。
そんな希少なマシンで編み立てた貴重な素材を使って、ピーコートを作り上げたのが今作。Vol.2でピーコートを紹介しましたが、ここでまたヴィンテージピーコートの仕様についておさらいしておきましょう。
「1940年代より以前の仕様は前立てが‟10ボタン”でロング丈、1940年代以降は前立てが“8ボタン”のショート丈」、というのが基本でしたよね。Vol.2で紹介したモデルは40s以降の‟8ボタン”のショート丈。ヴィンテージと見紛うほど、徹底的にウールメルトンの素材感を追求、さらにヘヴィな見た目ながら着用したら……なナイロンを混紡して軽量感をも持たせたスペシャルなモノでした。
で、今回紹介するピーコートは“8ボタン”より古い仕様となる‟10ボタン”のロング丈!
つまり、ヴィンテージで評価される最古の仕様のピーコートを古き良きスウェット素材で作ってしまった感涙モノ♪というわけ。触ってみれば、やわらか~いのに、ガサっとしたへヴィな素材感。スウェットの着心地の良さは言わずもがな、いわばチャンピオンの着心地で見た目はベーシックなピーコートですから、文句のつけようがありません(笑)。
ピーコートといえばの素材、目の詰まったウールメルトンの風合いをスウェット素材で見事に表現!肉厚でもっちりとしていてね、保温性バツグンながらも軽くて扱いやすく、シワなんて気にすることないしね♪表裏異なる色糸を使いツートーンに&梳綿して糸の毛羽立ちを抑えた“コーマ糸”でシルキータッチなクラス感ある表面感……etc.旧式のマシンを使いながらHYSの新たなクリエイションも効いて、何とも“楽ジュアリー”な仕上がりにもルンルン♪古着屋でジャストサイズの“10ボタン”や“チャンピオン”を血眼になって探したミツキにとっては垂涎のマリアージュなのだ。ヴィンテージのカタチをヴィンテージの素材で=楽チンでオーラがあって長~く愛せて、多くの利点をくれる。そんなアドバンテージをも纏いながら、所有感もワンランクアップ!まさにHYSでしか買えない上質ベーシック、ウールじゃなくコットンだから、秋口から真冬は機能インナーをINして→春先まで。3シーズン着られちゃうっていうのもイイんだよね‼

100字で語る
ピーコートとは

「英国海軍の艦上用コートとして誕生したといわれるメルトン地のコート。のちに米海軍にも採用された。商品名の“P”はpea。」

ヴィンテージピーコートの証
13スターボタン♪

“13スターボタン”。これはボタンそのものに付いた星の数を表す。
前立てが“10ボタンピーコート”の中でも1930年代以前に作られた高値で取引される希少なモノに付く。13の数はアメリカが独立した際の州の数。

スウェット素材だけど
肉厚でしっかりヘヴィウェイト

柔らか~な素材で着用感もサイコー!だけど、まるで布帛のようなしっかり感も兼備。写真上のようにピーコートの定番ディテールであるチンストラップもご覧の通り。ふにゃ~とすることなく立ちがイイ♡生地の硬さが伝わりますね。

HYS独自のテクニックで
ツートーン&MOREふっくらを実現♪

裏毛は表・中・裏の3つの糸で編み組織が構成されるが、表裏糸に異なる色糸を配置してカラーを2色にするという気遣いが◎。また“トビ裏毛”と呼ばれる編み方を用い通常の裏ループよりふっくらな肌触りも実現している。

ミツキのどう着こなすの?解説

ワントーンで合わせて
ワンランク上のクールな着こなし♪

手持ちのタートルネックにブラックパンツ、足元にはレザーシューズを合わせてみよう。着心地はスウェットで楽チンなのに、どうです?この品格ある“楽ジュアリーな”着こなし。究極のフツーにカッコいいスタイルに♪

パーカ+デニム+スニーカー
アメカジの王道合わせもフレッシュに

ご覧の通り、ベリーベーシックな着こなしもウールのコートとはひと味違う独特のオーラがいつものスタイルに変化をつけてくれます。
パーカのプリントでコートのネイビーを拾ってイエローのTシャツIN、小技でより洒脱に。

ITEM INFORMATION

トライアングルウーマンワッペンPコート

9万9000円(税込)

Begin ファンベースラボ/ ディレクター
ミツキ

1977年生まれ。ワールドフォトプレス『monoMagazine』編集部を経て2006年に世界文化社(現・世界文化ホールディングス)入社。以来『Begin』一筋で主にファッションを担当。2017年~2021年まで同誌編集長を務める。現在はメディアをまたいで新規事業開発に注力。

“中坊マインド” を座右の銘に、既存の出版ビジネスを超えた制作チーム「ファンベースラボ」を率いるディレクターとして奮闘中。