Hystoric Glamour ミツキの私情価値 vol.15

ヒステリックグラマーがもっと好きになる

Hystoric Glamour ミツキの私情価値 〜HYSのトリセツ〜

ヒステリックグラマーの
VIXEN GIRL ワッペンTシャツ
HEAVY HYSTERIC パーカ

ミツキのどこがイイの?買い説

ガサっとして至極美しい♡
触った瞬間ヤラれました♪

ミツキのTシャツ選びは、価格別にお気に入り“松竹梅”を設定している。心地よい消耗品である“梅”は、ヘインズのパックTにGAPのポケTに始まり、中価格帯の“竹”、そして1万円くらいの“松”という具合に、プライスレンジでお気に入りを見つけては“多色買い”。素材感、パターン、バインダー仕様など、自分のBESTを発掘してはリピートして長~く愛用する。スウェットだって同じ、それが選びのスタイルなのだ。HYSのTシャツ&スウェットのボディは創立当初からすべてが“オリジナル”。原綿から編みのレシピまで、表現したいファブリックの質感を目指して独自に作り上げている。毎シーズン展開されるTシャツの質感を“触診”しては、ヘヴィでもっちり感だな~とか、シルキータッチで高級感あるな~……etc.微差こそ大差、作り手の狙いを指先で感じニヤニヤしながら食指が動くのであーる。

で、今シーズン、何やらHYSの中では“おとなしめな”一枚を発見! というのが、このTシャツ&スウェット。触診してみると、何とも言えないガサ~ッとしたドライ感。まるでデッドストックのヴィンテージかのような触感だったのです。

原綿、編み機だけじゃない
“糸”から作ってしまったのだ♪

VOL.10で解説した、古き良き生地を編み立てる旧式の吊り編み機。和歌山で僅かな台数が稼働するのみの希少なもので、ヴィンテージライクなプロダクトを生産するには欠かせないマシンだ。今回買い説する、天竺Tと、裏毛パーカもこのマシンで編まれたモノだけど、これらはその手前、紡績(糸を作る)段階から工夫されていたのだ。
*  *  *  
HYSのTシャツ&スウェットのボディはすべてオリジナル。超長綿と呼ばれる繊維長の長い高品質原綿から糸を作り旧式の編み機にかける。「番手」と呼ばれ糸の細さを調節したり、編み目の密度を表す「度目」、1mあたりの綿の投入量「目付」etc.……先述したように、編み物を組織するあらゆる要素をクリエイションし、独自のレシピでファブリックを生み出す。だから他とは違う“HYSテイスト”の質感があるのだ。もちろん他ブランドもそれぞれ門外不出の“レシピ”があり、独自の“味”を作る、いわば、料理人が自らの“味”を作り競い合うのと同じ。が、今回はひと味違う、というのが、なんと!“糸”からHYSオリジナルを作ってしまったのだ♪ コレってすごいことで、独自のレシピで生地を作るブランドは数あれど、糸から~は、おそらく値の張る高級メゾンかHYSくらいでしょうね。しかも『ブラウンズビルコットン』というオリジナルのネーミングまで! 素材にとことんこだわってきたHYSではあるが、ついに糸までこしらえてしまったという事実に、普段あまり帽子は被らない私であるが、思わず脱帽してしまった……そんなオリジナル糸は、写真下のMVSと呼ばれる特殊な紡績機により精紡される。

ドライ感と味を出すムラ糸ながら、特殊な二層構造により、毛羽が少なくクリアな糸を作るマシンだ。だから、ドライタッチなのに生地の表面が美しい。味がありながら滑らかなタッチ、という相反する要素を一致させ、何ともいえない風合いを実現しているのだ。他にもこのオリジナル糸の特徴といえば、“毛玉を抑える”、“洗濯に強い”、“プリントがキレイに出る”、“吸水性がバツグン”……と、Tシャツ&スウェットを長~く愛すために不可欠なポイントが凝縮されている。そんな糸を使って表現された素材感は、古き良きアメリカのヴィンテージ、しかもデッドストックのような味わい♪古着屋で見つけたあの味が新品で手に入るというわけだ。“Tシャツ&スウェット=消耗品”という図式に異を唱えるべく、長~く愛せるモノ、デニム同様に育っていく。誤った大量生産による、ろくでもないTシャツをごちゃごちゃ持つより、着ていて愛着の持てる⤴一枚を持つことこそがミツキの私情価値。見た目の派手さはないが、知れば知るほど触手が伸びる。“高級”なんて薄っぺらい、HYSの一枚は最高に愛着が湧く“恒久”品だ。

100字で語る
“ブラウンズビルコットン”とは

「アメリカ・テキサスの長綿、ディープサウスコットンを使用しMVSという特殊紡績機により精紡されるVORTEX糸。毛羽立ちを抑えたナチュラルなムラ感が特徴で、ハリ、コシを備えて独特の風合いを出す、HYSオリジナルの糸だ。」

とことんこだわったボディに
精緻に表現されたグラフィックワッペン

国内実力派工場が手掛けるワッペンの作りも、とにかく精緻。手の込んだ細かな運針(ステッチの間隔)や、小さいながら美しく刺繍で再現されたヒスガールは圧巻の出来。デザイナーと刺繍ファクトリーの妥協なきディスカッションのもと作られている。

HYSの十八番グラフィックの
発色の良さも糸がもたらす♪

先述したように、オリジナル糸はプリントが美しく出せるというのが特徴。発色、エッジの効いたアウトラインなどが鮮明に表現できる。HYSといえばのグラフィックも、毛羽立ちが少ないオリジナル糸でこそ為せるワザなのだ、糸からこだわる理由はここにもある。

美しき粗さというべきか
ずっと触っていたくなる風合い

オリジナル糸で作られた裏毛(スウェット)も、ドライタッチでありながら滑らか~な何ともいえない質感。カジュアルの王道でありながら、品の良さを備えている。オリジナル糸は、洗濯、乾燥を繰り返しても、脱毛、斜行、色落ちが起こりにくいので、長~く愛せる。

ミツキのどう着こなすの?解説

高品質な“恒久T”は
大人のTイチスタイルに不可欠

写真のように、キレイめスラックスに合わせてみよう。肩肘張らない品のあるスタイルが簡単に完成します。これぞ高品質なTシャツが放つオーラ。粗悪品では成し得ない、品質は着る人の品位も醸し出すことを心得よう。

味があるけれどクリアな素材感
王道スタイルもキレイに♪

ご覧のように、プリントTをIN、デニムにキャンバススニーカーという、安心感あるスタイルも、恒久パーカで大人っぽさを演出♪ Tシャツはスニーカーと色合わせ、プリントのグリーンを拾ってキャップをチョイスする合わせテクも◎。

ITEM INFORMATION

VIXEN GIRL ワッペンTシャツ
HEAVY HYSTERIC パーカ

1万3200円(Tシャツ)3万6300円(パーカ)(税込)

Begin
クリエイティブディレクター
ミツキ

1977年生まれ。ワールドフォトプレス『mono magazine』編集部を経て2006年に世界文化社(現・世界文化ホールディングス)入社。以来『Begin』一筋で主にファッションを担当。2017年〜2021年まで同誌編集長を務める。現在はメディアをまたいで新規事業開発に注力。“中坊マインド”を座右の銘に、既存の出版ビジネスを超えた制作チーム「ファンベースラボ」を率いるディレクターとして奮闘中。