Hystoric Glamour ミツキの私情価値 vol.12

ヒステリックグラマーがもっと好きになる

Hystoric Glamour ミツキの私情価値 〜HYSのトリセツ〜

ヒステリックグラマーの
リブショールカラーコーチジャケット

ミツキのどこがイイの?買い説

“紺ブレ”と双璧を成す
ベーシックジャケットなのだ

 これまでいくつものHYSのアイテムに袖を通してきたけれど、中でもミツキの所有率№1といえば“コーチジャケット”だ……順調な体重増で着られなくなったモノもありますが(笑)、それらも含めて5着はあるかな~。デニムにミリタリー、革ジャンにスタジャン……etc.毎シーズン必ずアップデートして展開される定番は数あれど、コーチジャケットも店頭から姿を消すことのないアイテムと言えるでしょう。で、なぜミツキはそんなに“コーチジャケット”LOVE♡なの?と問われれば、堅苦しくなく、流行を追っていないから。シャカシャカ~と擬音で表現されるナイロン素材は、シワも汚れも気にすることなく“肩肘張らないジャケット№1”だ♪ 不変的でこれ見よがし感も皆無だしね。仕事柄カチッとしたジャケット&スーツを着る機会も多いけれど、必要とされるTPOを抜ければ、即時にストレスフリーなコーチジャケットに着替えるのであーる。カジュアルパンツに合わせてスポーティ&アメカジ全開もいいんですが、ミツキ的にはスラックスや白パンなどキレイめボトムスに合わせるってのが常套手段。トップスがカジュアルならボトムスはキレイめ、またその逆も然り。この上下のテイストを“互い違い”にするコーデを“テレコの法則”と呼んでいるんですが、そんな着こなしで週3回は過ごしているかな~。もう立派な大人、というかオッサンだけど(笑)、カチッとした枠に捉われて、つまらん人間になりたくない……HYSファンの年齢層はとにかく幅広いですからね、若い世代は素直にヤンチャでOK♪ オッサン世代は自分を奮い立たせる起爆剤として(笑)、コーチジャケットは効くんだよね~というのが私情価値。とはいえ、ヴィンテージショップへ行けば常に大量のコーチジャケットが並んでいるし、巷のショップでもいったい何を選べば正解?と悩む方も多いのでは? ということで、私情価値&市場価値も両得する、間違いのないコーチジャケットについて。歴史を交えながら“トリセツ”していきたいと思いま~す♪

ナイロン素材だって
とことん古き良きにこだわる

 シャカシャカ~な軽快でライトな素材感のせいなのか、デニムやスウェットと並ぶヒストリックなアイテムであるのに、いわゆる旧式の織機で~or旧式の吊り編機で~といった古き良きファブリックについて語られることがあまりない。ファッション誌で詳説する記事もあまり見たことがないしね……ということで、コーチジャケットの歴史から魅力を紐解いていくことにします。誕生したのは1930年代のアメリカ。詳しくは下の100字で語る~のコラムで書きますが、1939年のニューヨーク万博にて“ナイロン”が発表される以前の仕様と言えば“ウール製”でショールカラーでした。なので、その史実からすると、今回紹介するコイツは1950年代のミッドセンチュリー期から主流となったナイロン製に、1930年代ウール製だった頃のショールカラー仕様を合体させたモノ、ということになる。

 で、キモとなるファブリックは、HYSのアーカイブにあるヴィンテージの素材感を徹底的に研究。しなやかなのに粗野感ある独特の風合いを求め、デニムやスウェット同様“古き良き”の再現に注力した。写真下の北陸の合繊を得意とする実力派ファクトリーで、他では手に入らない、まるで、エッ⁈ コレってデッドストック?と思わせるような素材開発に成功したのであーる。ナイロンの糸というのは“フィラメント”と呼ばれる繊維の集合体で構成され、フィラメント数が多ければ多いほど、“ハイカウント”や“マルチカウント”と呼ばれる高品質な糸になります。コットンに置きかえるなら、“スーピマ”や“ギザ”といった、服好きなら一度は耳にしたことがあるであろう、高級な超長綿を使った上質な糸、と言ったところ。このHYSオリジナルナイロンはそんな上質な糸を使用。そして、縦は極細~、横はちょっぴり太く~、といった具合に、糸の細さを変えて織り成すことで、シルキータッチで高級感がありながらどこかヘヴィでもっちり~。

 表面もフラットではなく味のある凹凸があるような、ぬくもりある質感を出しているんです。そんな上質なキャンバスにオリジナルグラフィックをON! 先述したように、デニム&スウェットと同じように、“古き良き”ファブリックに向き合うHYSの姿勢は釈迦に説法、天然素材だけにあらず、シャカシャカ~な合成繊維だって“古き良き”の再現にとことん追求する。なかなかココまで素材にこだわるコーチジャケットってのも他にありませんしね。まさに、グラフィックの裏側にある“モノの良さ”。“わかってる大人”に相応しい、私情価値&市場価値も両得する、間違いのないコーチジャケットなのだ。

100字で語る
コーチジャケットとは

「アメリカンフットボールのコーチが着用していたことからのネーミング。選手やコーチが暖かく、風通しのいいスポーツコートとして生まれた。ナイロンが登場する以前はウール製。アイビーリーガーにも愛用された名作だ。」

実は……背面グラフィックは
“復刻モチーフ”

オリジナグラフィックは、知る人ぞ知る復刻もの。90年代に人気を博した、貴重なアーカイブ柄というのもファンには垂涎だ。スナップボタンもロゴ入りのオリジナル。とことん細部まで“自前”を貫く姿勢はHYSならでは。

ショールカラーは
1950s以前のディテール

ナイロン素材が登場する以前はウールが主流。その頃の仕様がショールカラーだった。だから、今作は1930sの意匠と1950s以降の素材のハイブリット版。アイテムを歴史を紐解くとモノの企画意図までが見て取れるのだ。

シルキータッチで
タフな上質ナイロン

写真でもわかるくらい、マットな艶感が美しいのがわかる。だけどもっちりと肉厚で、フラットで無機質でないガザ~ッとした表情が◎。ヴィンテージの風合いにクラス感をプラスした素材は、モノとしてオーラを放つ。

ミツキのどう着こなすの?解説

ボトムスはキレイめ
インナーはクルーネックが吉

写真のようにグリーンにはベージュのインナー、という具合に、コーチジャケットのカラーに好配色をインしよう。合わせるパンツはキレイめが基本! シューズも革靴をもってきて、より大人っぽくこなそう。

ITEM INFORMATION

リブショールカラーコーチジャケット

4万9500円(税込)

Begin ファンベースラボ/ ディレクター
ミツキ

1977年生まれ。ワールドフォトプレス『monoMagazine』編集部を経て2006年に世界文化社(現・世界文化ホールディングス)入社。以来『Begin』一筋で主にファッションを担当。2017年~2021年まで同誌編集長を務める。現在はメディアをまたいで新規事業開発に注力。“中坊マインド” を座右の銘に、既存の出版ビジネスを超えた制作チーム「ファンベースラボ」を率いるディレクターとして奮闘中。