Hystoric Glamour ミツキの私情価値 vol.21

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Hystoric Glamour ミツキの私情価値 〜HYSのトリセツ〜

ヒステリックグラマーの
DEVIL WOMAN ジャンパー

ミツキのどこがイイの?買い説

 なぜ春夏なのにウールなの? って大部分の方が違和感を感じるでしょうね、だってウールといえば、ニットやセーターなどの防寒着に用いられる素材。真冬に活躍する素材で保温性に優れるものでしょ! だからクソ暑いときにウールってのもね~……という“矛盾”が今回のテーマ。少なくとも“涼しさ”とは結び付かないウール素材。でもね、デニムを旧織機&裏毛(スウェット)や天竺(Tシャツ)を旧式の吊り編み機で……と同じように、実はアイテムやカルチャーのルーツにとことんこだわるHYSらしさが潜んでいる。そんな春夏、そして秋口にかけてめちゃくちゃ重宝するカーディガンについて、私情価値を交えながら買い説します。

 毎朝必ずコーヒーを飲みます。桜が咲いてそろそろアイスコーヒーかな~って気分の頃、コイツが欲しくなるんだよね。というのが今回紹介するウールカーディガン。これまでHYSのアイテムを数多く愛用してきたけれど、デビューしてから手放せない、昼夜の寒暖差のある今時期~真夏の冷房の効いた室内~秋口のレイヤリングまで、3シーズンに渡って重宝♪ 寒暖差が激しく、“夏でも寒い街”と言われる、サンフランシスコのライフスタイルよろしく、夏もカバンに仕込んで持ち歩くヤミツキカーデなのだ。で、なぜ夏なのにウールなの?という矛盾に話を戻しましょう。アウトドアの名素材といえば、アメリカのデュポン社が開発したナイロンに始まり、コットン60%/ナイロン40%のロクヨンと呼ばれる混紡素材、HYSがいち早く使用したプリマロフトやフリースならポーラテック、防水はゴアテックス……etc.機能性=化繊というのが定説。環境に適応するための“人類の知恵の結晶”と言っていいでしょう。が、アウトドアの素材の歴史について簡単に触れれば、化繊が開発される以前、もともとフィールドで人間を支えてきたのはウールだった。濡れても体温を奪わず、臭いも出にくい。いま改めてここで書くウールの機能は、実はずっと前から備わっていたものなんですね。そんな元祖アウトドア素材をHYS的解釈で作り出したのがこの名素材。写真上の素材感を見てくださいよ! シルキーな光沢感と高級感、思わずスリスリ触りたくなる滑らかさ~……今回はスーツなどウール生地の名産地「尾州」で開発したファブリック。その魅力に迫りたいと思います。

 ということで、ウール=防寒というイメージは半分正解で半分誤解。ウールは確かに保温性が高いですが、同時に吸湿性・放湿性が非常に高い天然素材。で、先述したとおり、汗をかいても“臭いにくい”という特徴を持っています。これまでも数々のアウトドアブランドが、数日~一週間着続ける”フィールドテストを行い、合繊とウールの比較テストでも「合繊は数時間で臭う」に対し「一週間のバックパッキングでもほぼ無臭」など、抗菌・防臭性が高いことがさまざまな記事で実証されています。そんな機能を日常に落とし込むのがHYSの真骨頂! ウールの中でも最高級のメリノウールをベースに細番手の糸を高密度に編み込んだ天竺はチクチクせず肌触りがバツグンに滑らか♪着心地のイイ高級Tシャツがカーディガンになった、と形容すればわかりやすいかな。MA-1型のデザインも相まって、着回し力もハンパないのだ。薄くて軽いのに、高密度で編むことでしっかり。防縮加工も施しているから、洗濯機でもガンガン洗えてケアもラクだしね。冒頭にも書いたけれど、古き良きを再現するだけでなく、元の機能を現代のライフスタイルにフィットするかたちで“更新”していくこと。そこにこそ、HYSらしさがある。過去のアウトドアウェアが持っていた合理性や機能美をリスペクトしながらも、街で着ることを前提にシルエットや質感、使い勝手を磨き上げる。だからこそこのウールカーディガンは、「昔ながらの良さ」と「今の快適さ」が矛盾なく共存している。暑い季節にウールなんて……という先入観を軽やかに裏切りつつ、気づけば手放せなくなる一着。こういう“違和感の先にある納得”こそが、長く愛せるモノの条件なのかもしれません。
 スペックや流行だけで選ぶのではなく、その背景にあるストーリーや素材の必然性に目を向けること。そうすれば、「なぜイイのか」が腑に落ちて、モノとの付き合い方も少し変わってくるはず。
 結局のところ、“古き良き”とは懐古ではなく、今を豊かにするためのヒント。
 それを自分なりに解釈して楽しめるかどうか――そこが、モノ選びのいちばん面白いところ。今季はミツキが90sから親しむ、“Fuck”は一番好きなパロディグラフィック。来シーズンもアップデートを楽しみに買い足ししちゃうんだろな~。

100字でわかる“ミツキの目ウロコ話”
メリノウールってどんな素材?

「メリノウールは細く柔らかな羊毛で、チクチクしにくく肌当たりが良い。吸湿性・防臭性に優れ、汗をかいても快適さを保つため、アウトドアから日常着まで幅広く使われる高機能天然素材。」

ミツキのどう着こなすの?解説

ITEM INFORMATION

DEVIL WOMAN ジャンパー

3万7,400円(税込)

Begin
クリエイティブディレクター
ミツキ

1977年生まれ。ワールドフォトプレス『mono magazine』編集部を経て2006年に世界文化社(現・世界文化ホールディングス)入社。以来『Begin』一筋で主にファッションを担当。2017年〜2021年まで同誌編集長を務める。現在は(株)世界文化社・上席執行役員。メディアをまたいで新規事業開発に注力。“中坊マ インド” を座右の銘に、既存の出版ビジネスを超 えた制作チームを率いるディレクターとして奮闘中。