さらに驚いちゃうのがその着心地~。重厚な見た目とは裏腹に、袖を通すと拍子抜けするほど軽い~♪。中綿にはHYSが20年以上前に先駆けて採用した(Vol.11の記事を見てね)プリマロフトを採用し、ダウン並みの保温性を確保しながら、肩にのしかかる重さは全くない。この軽快さこそ、成功や権威に縛られず、力を抜いて生きたカート・コバーンの姿勢を、HYSのテクニックで表現したもの。その哲学が、結果“コンフォータブル”な機能性となっているのであーる。
で、ランチコートといえば、作業性を優先するため、丈は腰~ヒップ丈と短めの設計なんだけど、このランチコートの丈は長めに設定。名もない古着をサイズ感も気にせず無造作に着る。そんなカートの肩肘張らないスタイルを体現するため、ルーズ感を演出するパターンになっているのも◎。細かなところを見ても、ラペルのボアが身頃のコーディロイに包まれた丁寧な仕様になっていて、二つの異素材が美しく見えるよう工夫……なーんていう芸コマなHYSのモノ作りの良さにも触れながら、一枚の写真から解釈されて生まれたランチコート。昨今、古着ブームが猛威をふるい、“動産”、“資産”として行き過ぎた価格高騰に沸くヴィンテージ市場だけど、名もない古着をサイズ感も気にせず無造作に着る。このカート的ベーシックこそ、本来あるべき古着の私情価値と再認識。彼の思想をHYS的に解釈したこのコートを、手持ちのダメージデニムに合わせて、軽快に。『All Apologies』な一着であり、『Come As You Are』ありのままで羽織りたい――。
ミツキの
どこがイイの?買い説
毎シーズンベーシック好きの心を押さえ、独創的な手法で物欲を刺激するコレクション。巷のショップのように“SALE”をすることなく、SOLD OUTを繰り返し“正統な価値”をくれる。そんなHYSのモノ作りの裏に潜む独自のメソッドを紐解きながら、私情価値を交えて。感覚的なHYSの世界観を“ABC”で分解していきたいと思います。
これまで編集者として幾千ものウェアに対峙してきたけれど、いわゆる服好きの琴線に触れる手法として、“アーカイブ”の活用があります。よく“元ネタ”なんて、雑誌やweb記事に書いてありますよね。ご存じのとおり、洋服の世界では価値観が世の技術革新と逆行するところがあって、“古き良き”を美徳とし、また“古き良き”を最新技術で再現したりする。“最新のiPhone”が欲しいとは真逆、温かみのあるレガシーにより価値を感じる。
アーカイブの活用に話を戻すと、よくある手法として「スティーブ・マックイーンが映画で着ていた」、というのが、一番多いんじゃないかな~。『大脱走』のカットオフスウェットに『華麗なる賭け』のバラクータetc.ファッション界において、名作映画は最高のルックブック。でもね、HYSはそんなアーカイブの探求だって独特。独自のルートでストックされた貴重な資料とディレクターの感性を掛け合わせ、あらたなクリエイションを生み出している。そこには音楽とカルチャーをベースにした何ともHYSらしい手法が潜んでいる。
ニルヴァーナのカート・コバーンといえば、90年代グランジ。よく“30年周期”というけれど、2024年で没後30年、リアル世代にとっては懐かしく、Z世代には新鮮に映る。また彼の発した“NO FUTUREでもいいじゃない”という思想が何かと不安定な今、頑張らないことを肯定し、カッコ悪さを隠さない……成功が幸せじゃないと教えてくれた“未完成でいい”という生き方&スタイルが、ここに来てまた心に響く。SNS時代の「自己ブランディングの疲れ」にもビンビンに効いているんだろうな~。ということで、そんな今の正解のない時代にまた刺さる、彼が着用していたコートが今回の元ネタ。アーカイブされた一枚の写真から、ブランドも素材もわからない中、彼の生き方とスタイルに敬意を表しながら、HYS流に組み立てていったモノ作りのプロセスについて買い説していきたいと思います。
そんなカート・コバーンのスタイル、“カート的ベーシック”はモヘアカーデにボーダーT、ダメージデニムにコンバース……を連想する。古着、独特のサイズ感、無頓着なレイヤード……モヘアのような高級素材を“ボロく”着る、肩肘張らないスタイルが彼の象徴だ。今回元ネタとなったのはバズコックスのピート・シェリーと肩を並べた一枚で、ランチコートにダメージデニム、カットソーにシャツを無造作にレイヤードしたスタイルだ。そのランチコートは太畝のコーデュロイ、HYSはその素材を“ハイカウントコール”上質なアメリカンコットンで高密度に織り上げた。超長綿を詰めて織り上げることで、素材そのものの輝きと相まって上品な光沢感が生まれる。
ランチコートはその名の通り、牧場で働く労働者のためのワークウェア。そんな作業着にあえて高級素材で仕立てたのは、カートがモヘアという上質素材をダメージデニムに合わせていたように、既成概念を超えラフさとラグジュアリー、相反するボーダレスなスタイルを表現するため。無骨な見た目の奥に、静かな品を忍ばせる──それこそが、彼のグランジ哲学への敬意だったしね~。
さらに驚いちゃうのがその着心地~。重厚な見た目とは裏腹に、袖を通すと拍子抜けするほど軽い~♪。中綿にはHYSが20年以上前に先駆けて採用した(Vol.11の記事を見てね)プリマロフトを採用し、ダウン並みの保温性を確保しながら、肩にのしかかる重さは全くない。この軽快さこそ、成功や権威に縛られず、力を抜いて生きたカート・コバーンの姿勢を、HYSのテクニックで表現したもの。その哲学が、結果“コンフォータブル”な機能性となっているのであーる。
で、ランチコートといえば、作業性を優先するため、丈は腰~ヒップ丈と短めの設計なんだけど、このランチコートの丈は長めに設定。名もない古着をサイズ感も気にせず無造作に着る。そんなカートの肩肘張らないスタイルを体現するため、ルーズ感を演出するパターンになっているのも◎。細かなところを見ても、ラペルのボアが身頃のコーディロイに包まれた丁寧な仕様になっていて、二つの異素材が美しく見えるよう工夫……なーんていう芸コマなHYSのモノ作りの良さにも触れながら、一枚の写真から解釈されて生まれたランチコート。昨今、古着ブームが猛威をふるい、“動産”、“資産”として行き過ぎた価格高騰に沸くヴィンテージ市場だけど、名もない古着をサイズ感も気にせず無造作に着る。このカート的ベーシックこそ、本来あるべき古着の私情価値と再認識。彼の思想をHYS的に解釈したこのコートを、手持ちのダメージデニムに合わせて、軽快に。『All Apologies』な一着であり、『Come As You Are』ありのままで羽織りたい――。
100字でわかる“ミツキの目ウロコ話”
なんでランチコートは“太畝”なの?
「名前の由来はカウボーイや牧場労働者、Ranchから。ミッドセンチュリー期、それまでの素材はデニムだったが、野外での寒さに耐えられないことから、防寒性を高めるため太畝のコーディロイ、裏ボアの仕様が定着した。」