Hystoric Glamour ミツキの私情価値 vol.17

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Hystoric Glamour ミツキの私情価値 〜HYSのトリセツ〜

ヒステリックグラマーの
トランスポートコート&スラックスパンツ

ミツキのどこがイイの?買い説

史上! 市場!! 私情!!!
三拍子揃って価値がある♪

 たとえば……リーバイスのデニム生地を作った“コーンミルズ”やシエラデザインズの“60/40”、通称ロクヨン……etc. 服飾史の中でエポックメイキングとなった素材はいくつも存在する。今回の元ネタとなるブラウンズビーチも“ビーチクロス”や、見た目から“ゴマ塩”の愛称で親しまれる、ヴィンテージ市場で確固たる地位を築く名素材だ。リーバイスはサンフランシスコ、シエラデザインズもカリフォルニアと、ワーク&アウトドアは“西海岸の出自”というイメージが強いけれど、この“ブラウンズビーチ”は東海岸、ボストンが位置するマサチューセッツ州が出自。過酷な状況下で働く労働者のために、コットンウールの混紡素材でジャケットやベストを製造するメーカーだった。
 オリジナルで開発した編地は、凹凸感ある表面に、ウール起毛の裏面の2重構造。いわばスウェットの裏起毛と同じなんだけど、1900年代初頭に“裏面を起毛する”という発想は画期的! 先述したシエラデザインズの60/40、通称ロクヨンのように、コットン(天然素材)にナイロン(化繊)を混紡し、より機能性を高めた素材が台頭したことから、1960年代には姿を消したが、当時は全米のワーカーから愛される存在だった。
 そんなワークウェアの史上価値があり、ヴィンテージの市場価値も高い素材をアレンジして、また新たなアイテムを創出してくれたってのが私情価値。こう来たか‼と思わず膝を打つ! セットアップについて、買い説していきます♪

レア×レア=超特濃
だけどさらりと着こなせる♪

 前回のVOL.16のコラムでも触れましたが、HYSはフュージョンを得意としている。毎シーズン、独自のセンスから融合してできる、まるで音楽を奏でるような個体に魅せられてしまう。で、今回ヤラれてしまったのがこのセットアップ、VOL.14で“真夏のセットアップ”について書いたけれど、カジュアルながらきちんと見えする“ラペル型の上下セット”は、世代を超えジェンダーレスなアイテムとなりましたよね。でもね、すっかり定着化したからこそ、食傷気味でちょっと物足りなくなる……ってのが服好きの性ってもん。そんな状況下、誰もが着るだけ~♪で、即お洒落になれちゃうインスタントなパワーがあるんだよね~。というのが、タイトルにも掲げた“ワーク meets ミリタリー”。他ではお目にかかれない“シン・ベーシック”だ。
 ワークの名素材をコットンオンリーで織り上げ、more扱いやすく&軽量に→その素材を使ってUSMC(アメリカ海軍)のヴィンテージ市場で激レアなアイテム“トランスポートコート”型で表現してくれました♪ この“トランスポートコート”とは、第二次大戦時代の1940年代に支給されていた寒冷地用のアウター。なかなかお目にかかれない元ネタは、ブラウンのモールスキンにアルパカのショールカラーのコンビ仕様とめちゃくちゃヘヴィですからね~。そんな名作をライトで着やすく、しかも、ワーク出自の名素材でセットアップ仕様してくれたんですから、こりゃ着ないわけにはいきません(笑)。着用してみれば、いわゆる巷に溢れたラペル型の上下とはまったく違った印象。着こなしについては後ほど詳説しますが、ブラックのハイネックニットをINするだけで、大人っぽさ全開のスタイルが完成しちゃいます♪服飾史史上、レアなアイテムにレアな素材のフュージョン。ちょっとヒネリを効かせただけなんだけど、その“ちょっと変え”が、あなたの価値観、スタイルをかなり変えてくれる……そんな企画力こそがHYSにヤミツキになる所以なんだよな~。

100字で語る
“トランスポートコート”とは

「第二次世界大戦時にUSMC(アメリカ海兵隊)に支給された寒冷地用コート。現存数がかなり少ないため、ヴィンテージ市場でもあまりお目にかかれないレアもの。世の服好きを虜にする知る人ぞ知る名作として君臨している。」

見た目から通称“ゴマ塩”とヴィンテージ好きから親しまれている凹凸ある生地表面。元ネタはウール×コットンの混紡素材だが、より着やすくするために、HYSはコットン100%で表現している。

トランスポートコートの本チャンはアルパカのボアだが、こちらもケアしやすいように、保温性のある化繊ボアに変更している。機能性をアッデートしながら、天然素材のようなぬくもりがあるのも◎。

ミリタリーアイテムで使われる“TALON”ジップ⁉と見紛うようなオリジナルのジッパーもよくデキ! ヴィンテージ感あるコートにマットな鈍光が最高にマッチ! 細かな部分も手を抜かない、それがHYS流。

ミツキのどう着こなすの?解説

ハイネックニットに
スエードシューズに合わせればホラッ!

インスタントに誰もがお洒落になれちゃう♪と書いたけれど、どうです? 写真を見ただけでソレを体現してるでしょ!! ポイントに柄モノマフラーを持ってきたりしちゃって。品のいいセットアップスタイルに。

コート一点使いでも
スタイルアップの効果あり!

ご覧のように、フードパーカにチノパン、ワークブーツというアメカジスタイルにONしても、いい具合にアク抜き効果を発揮! カジュアルを格上げし、土臭くない、お洒落上級者の着こなしへと導いてくれます♪

ITEM INFORMATION

トランスポートコート
スラックスパンツ

8万8000円(コート)3万9600円(パンツ)(税込)

Begin
クリエイティブディレクター
ミツキ

1977年生まれ。ワールドフォトプレス『mono magazine』編集部を経て2006年に世界文化社(現・世界文化ホールディングス)入社。以来『Begin』一筋で主にファッションを担当。2017年〜2021年まで同誌編集長を務める。現在はメディアをまたいで新規事業開発に注力。“中坊マインド”を座右の銘に、既存の出版ビジネスを超えた制作チーム「ファンベースラボ」を率いるディレクターとして奮闘中。