Tabloid vol.71 release⠀ Tabloid vol.71 release⠀ Tabloid vol.71 release⠀

Tabloid vol.71 release⠀ Tabloid vol.71 release⠀ Tabloid vol.71 release⠀

Tabloid vol.71 release⠀ Tabloid vol.71 release⠀ Tabloid vol.71 release⠀

KEISUKE BABA & SYUNKI
Talking about
HYSTERIC BOOTLEG vol.4

Share :

X Facebook

デザイナーSYUNKIが手がけるHYSTERIC BOOTLEGのvol.4が、2026年1月23日に待望のローンチ! そのビジュアル撮影を、スタイリストであり、東京・千駄ヶ谷でヴィンテージショップ「Council Flat 1」も手がける馬場圭介さんがスタイリングを担当した。 まさに世代を超えた二人が、今回の撮影を経てどう共鳴したのか、その裏話に迫ります!

Interview & Text: Hiroshi Kagiyama

――HYSTERIC BOOTLEGの第4弾ということで、SYUNKIさんにとって今回の作品のテーマは何かありましたか?

SYUNKI:
今回は、「スタイリングをされた状態の服の提案」というのがテーマです。冬ものでは、ジャケットやアウターを着る時に当然インナーも着るので、僕が作る服でそこまで提案ができたらいいなという思いがあって。馬場さんにかわいがってもらっているおかげもあって、スタイリングの仕事をいただくこともあるんですが、スタイルまで含めて服づくりにできたらいいなと。

――その新作シリーズのビジュアル撮影のスタイリングを、馬場さんが担当されたんですよね。

SYUNKI:
基本は馬場さんにスタイリングしてもらって、そこに僕も数ルックだけスタリングさせてもらいました。

――馬場さんが今回のシリーズの服を見て、率直にいかがでしたか?

BABA:
思っていたよりも服が面白かったし、SYUNKIから撮影では何でもやっていいという話だったので(笑)。
SYUNKI:
服を自由に使ってください、と(笑)。

――撮影のディレクションやモデルのキャスティングも馬場さんが主導で行ったんですね。


BABA:
スタイリングのモチーフは、Buffalo(*1980年代のロンドンで、スタイリストのレイ・ペトリを中心に『THE FACE』や『i-D』のファッションエディトリアルの誌面などでビジュアル表現したクリエイティブ集団)なんだけど。自由な感じで、いろんなものを使うこと。

――Buffaloは、馬場さんがロンドンに住まれていた頃にまさに全盛期でしたか?

BABA:
85年から87年の1年半ぐらいロンドンに住んでいたから、ちょうどその頃だね。ジュディ・ブレーム(*アクセサリーデザイナー兼スタイリスト)とか、ジョン・ムーア(*シューズデザイナー)とか、『House of Beauty and Culture』(*ジョン・ムーアが作ったロンドンのブティック。ジュディ・ブレームもその一員)の存在があったからね。

――時代的には、ポストパンクのような空気がロンドンにはあったんですかね。

BABA:
そうだね。面白かったよ。
SYUNKI:
その当時流行っていた音楽は、The Smithとかだったんですか?
BABA:
The Smithとかイレイジャーとか、俺はそのあたりが好きだった。あと、ポール・ウェラーは同い年だけどライヴは観てないね。P.I.L.のライヴは住んでいる時に観たけど、他に何観たのか覚えてないなぁ。
BABA:
今の時代じゃ考えられないですよね(笑)。

――以前の対談で、SYUNKIさんが最初に出会ったファッションクリエイターが馬場さんだったとお聞きしましたが、馬場さんからどんなスタイルやカルチャーの影響を受けてきたと感じていますか?


SYUNKI:
馬場さんがスタイリングしていた雑誌で、スポーツマフラーを巻いていたりしているのを見て、「こういうスタイルっていいんだ」と思って、お手本にしていましたね。あとは、ハリントンジャケットとかMA-1だったり、スキンズがバックグラウンドにあるような服は馬場さんから影響を受けました。今回作った服の中にそういうものが多かったり、スタイリングで提案したい服というテーマでもあったので、僕の中でスタイリングといえば馬場さん、というところもあって、今回お願いしたという流れです。
BABA:
SYUNKIに使われてるよ。
SYUNKI:
(笑)。


――馬場さんがロンドンで過ごした80年代当時から、その後、東京でスタイリストや服づくりを手がけてきた現在までの流れの中で、ご自身の好きなUKスタイルの世界観が変わっていった感覚などは何かったりするのでしょうか?

BABA:
変わらないかな。ファッションは繰り返すしね。でも、今の若い子たちは、パンクもスキンズも実体験していないから自分なりに消化している子もいるとは思うけど、世間的には、ダサいのがカッコいい、みたいなことなのかな。
SYUNKI:
そうかもしれませんね。
BABA:
でも、なんかダサくない?
SYUNKI:
(笑)。音楽とファッションがどんどん離れていっている感じがしますね。ラッパーがパンクみたいな格好をしたり、ロックをやっているけどB-BOYみたいな格好だったり、その関連性がどんどんなくなってきているので。

――BOOTLEGのような一貫したスタイルで服づくりをしているSYUNKIさんにとっては、特にそう感じるのかもしれませんよね。馬場さんとは、今回のように仕事として撮影をするのは初めてだったんですよね?

SYUNKI:
そうですね。撮影する前からスタイリングは安心ですし、自分も心を開いてできるというか、今まで撮影してきた中で一番嬉しかったですね。
BABA:
前の服は、自分はあまり理解できなかったんだけど、今回は服のことをちゃんと考えて作っているな、と。服が明確だったから、スタイリングはしやすかったよ。
SYUNKI:
前回までは、リメイクすることに執着しすぎて、2つの服をいかに1つの服にするか、という考えが先行してしまっていたんですけど、そもそもすべてを1つに集約する必要もないんじゃないかと。だから、今回は見た目のわかりやすさとかはあると思います。
BABA:
普通に着れる服だね。それって大事じゃん。
SYUNKI:
そうですね。

――以前のシリーズは複数の既存服を壊して、1つの服にコラージュしているような印象もあって新鮮でしたが、今回はファッション的に進化したというところでしょうか。

BABA:
全然よくなった。自分としても着れる服がある。

――今回のBOOTLEGからは1点ものに加えて、量産していくシリーズの服を新たに手がけたんですよね。

SYUNKI:
自分のブランド(*CIRCLE HERITAGE)をやっている時も1点ものから始めたし、HYSTERIC BOOTLEGのシリーズが始まってからも自分で1点ものを作り続けているんですが、世に1つしかないのは良いところもあるけど、工業製品として量産できることのほうがいいとも思っていて。そこで、今回のシリーズを始める段階で、量産するものも目標に始めました。基本的には、今までBOOTLEGで作ってきた中から僕らが良いと思うもので、新品の服として成り立つものを何点か作りました。

――HYSの初期にあったパッチワークのデニムのようなモチーフのジャケットとパンツもありますが、サイズを大きくしたりもしているんですね。

SYUNKI:
そうですね。BOOTLEGでは、通常のHYSにはないサイズ感も常に心掛けているので。量産するシリーズも、基本は2つを1つにする、という今までやってきたことと、レイヤードした服、という今回のテーマにフォーカスしています。

――今回もHYSの初期のワッペンやアイコンのようなものも注入されているんですか?

SYUNKI:
当初のBOOTLEGでは、HYSが初期に作ったワッペンを何種類か切って、それを縫って1枚に繋ぎ合わせて作っていたんですけど、今回はデザインとして2つが1つになっているワッペンをオリジナルで作ってもらいました。あとは、BOOTLEGの1回目から使わせていただいている一番好きなモチーフがあって。HYSが5周年の時に作ったスタジャンのワッペンで、今回復刻させて作らせてもらいました。

――5周年ということは、1989年のものですね。

BABA:
芝浦にGOLDがオープンした年だね。その頃は(HYSのデザイナーの)NOBUとはまだそんなに面識がなかったから。

ーーでは、馬場さんとSYUNKIさんは世代が大きく異なるお二人ですが、今回のビジュアル制作で、世代を超えて共鳴した感覚はありましたか?

SYUNKI:
僕らの世代って、自分たちが見たことも目の前で起きたこともないサブカルチャーをずっと追いかけて服を作ってきたり、音楽を聴いたりもする中で、僕らだけで築くクリエーションにはどこかリアルさがないというか。作ったもの自体が、合っているのか間違っているのかもずっとわからないから、その答え合わせもできない、みたいな感覚に陥ることがあるんです。でも今回やってみて、馬場さんにスタイリングしてもらうだけでカッコよさが増すというか、説得力が増すのを感じました。
BABA:
何が正解なのか、間違いなのかはわからないけど、特に同じ世代だけで作ってしまうと、なあなあになっちゃうんだよねぇ、とかよく思う。たとえば、最近の東コレとか見ると、品がないというか、ショーの見せ方が汚いよね。

――服の1点1点には良いものがあるかもしれないけど、たとえばショーのキャスティングとかスタイリングを含めた総合的なプレゼンテーションとして、そう感じることがある、ということですかね。

BABA:
あとヘアメイクとかもね。
SYUNKI:
僕らの世代ってフィジカルじゃなくて、デジタルのためにショーをやっている感じに見て取れることがあります。SNSの中でどう見えるか、とか。でも、本質は絶対にそこじゃないと思うので。
BABA:
もったいないよね。

――SYUNKIさんはショーとかやってみたいと思いますか?

SYUNKI:
去年、小さなショーはやったんですけど、今はまだ必要ないかな、という感覚です。
BABA:
今はこんな感じでいいんじゃない。そんなに無理する必要もないし、それよりもこの次をどうやるか、だよね。

――BOOTLEGの新作を、お二人が手がけたビジュアルを交えて、今の世代の人たちにどう感じてもらえるか楽しみですね。ありがとうございました!

KEISUKE BABA

馬場圭介 1958年、熊本生まれ。28歳の1985年、渡英。1987年に帰国後、スタイリスト大久保篤志氏のアシスタントを経て、独立。自身が心酔するUKスタイルを地で貫くスタイリングや世界観で、数多の雑誌・広告・ミュージシャン・俳優のスタイリングを手がける。スタイリストと並行して、UK古着を中心に扱うショップ「Council Flat 1」の運営や、DJとしても活動している。

SYUNKI

2001年、東京生まれ。10代前半から裏原宿のファッションシーンに魅了され、洋服制作の基礎を学び、自主制作を始める。スタイリストとしても活動を開始。2019 年にこれらの経験を活かし、英国文化やカウンターカルチャーに通ずる服づくりを軸にしたブランド〈JANCHY〉を立ち上げる。2022年、〈CIRCLE HERITAGE〉を設立し、翌23年の春夏シーズンからデビュー。2023年からは、HYSの膨大なアーカイブを用い、解体・新たに構築し直した〈HYSTERIC BOOTLEG〉を、ブランドオフィシャルのシリーズとして手がけている。馬場圭介さんとは十代の頃に出会って以来、多大な影響を受けている、SYUNKIにとっての重要人物。