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INTERVIEW2021.03.08

The Roots of HYS vol.03 #L-2B コーチジャケット

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移ろいやすい時代や流行を超え、HYSTERIC GLAMOURが常に偏愛し、リスペクトして止まないアイテムやブランドをクローズアップ。その背景に流れるストーリーに触れ、秘められた魅力を深掘りしながら、HYSTERIC GLAMOURのアイデンティティを浮き彫りに。
今回は、長年にわたって採用を続ける“あの素材”をフィーチャー。そこに込める鋭気とこだわりを、デザインチーム自らが語ります。

厳格なミルスペックに準拠したブランド自慢の看板マテリアル

1984年の設立以来、HYSTERIC GLAMOUR のプロダクトはアメリカンカジュアル、とりわけヴィンテージウェアから多大な影響を受けてきました。なかでもデニムやTシャツと並ぶアメカジの3大アイテムであるミリタリーは、ブランドにとっても重要なカテゴリーであり、その代表素材が、MA-1やN-3Bなどで知られるエアフォースナイロンです。HYSTERIC GLAMOUR では冬の本格アウターを筆頭に毎年ラインナップしている素材ですが、初めて使ったのは1990年代の中頃。同じく、ブランドの冬の定番マテリアルとなっている高機能中綿のプリマロフトにイチ早く着目し、世界で初めてタウンユースウェアへの落とし込みを試みたことに端を発します。
今でこそプリマロフトはアウトドアやスポーツ、ファッション、寝具など幅広い分野で活躍していますが、そもそもは米軍の要請によって開発・供給され、後に民間にも広まったものです。我々はそうした出自を大切にすべく、アメリカ空軍のヘビーゾーン(10〜−30℃)用ナイロンフライトジャケットであり、N-3Bのショート丈バージョンとなるN-2B型のアウターに封入することにしました。そこで必要となったのがN-2Bの生地です。ミリタリー発祥の中綿素材に、ミリタリーをモチーフにしたデザイン。であれば、生地も本物のエアフォースナイロンを使用したいと考えました。
ただ当然ながら、そうした軍用マテリアルは生地メーカーにも取り扱いがなく、調達できない。そこで軍モノ素材の専門的な知識&技術をもつ生地メーカーの協力を得て、厳格に定められた軍用規格、いわゆるミルスペックに準拠しながら、自分たちのオリジナルで再現することに。当時は生地から作り込むブランドは珍しかったのですが、何度も試行錯誤を重ねた末、非常に素晴らしいものが完成したと現在でも自負しています。このN-2Bを皮切りに、以降はN-3BやMA-1、実に多様なアイテムに用いながら、ミリタリーがトレンドのとき、そうでないときも四半世紀にわたって使い続け、気が付けばHYSTERIC GLAMOUR の看板素材のひとつになりました。

ファッションユースであってもプロダクトの品質は妥協しない

とはいえ、HYSTERIC GLAMOUR はレプリカブランドではありません。ヴィンテージウェアを敬愛し、強いインスピレーションを得ながらも、それを寸分違わずトレースするのではなく、デザインやシルエットをブランドの感性や時代に合わせてアレンジし、あくまでも街で楽しむファッションアイテムへと昇華するのが流儀。ですから、このときの最初のエアフォースナイロンも実際の空軍カラーのセージグリーンではなく、あえて野戦部隊の迷彩柄であるタイガーストライプをプリントした、古着には存在しないN-2Bをリリースしました。
また、ミルスペックにならうだけではなく、より耐久性に優れる糸を選び、より高密度で織り上げ、一段とタフで、いっそうしなやかで美しい風合いへと仕上げました。さらに、加工によって強力な防風&撥水性を与え、軍用の実物を上回るハイパフォーマンスを実現しているのも特徴です。たとえファッションユースであっても素材は本物にこだわり、縫製なども含めてプロダクトの土台となる品質は決して妥協しない。単に見た目だけそれっぽくまとめた、本質をもたないハリボテのような洋服は、一時的には受け入れられたとしても、すぐに飽きられてしまいます。
そうした信念のもと、すべてのアイテムは末長く着られるクオリティで作り込んでおり、ひいては永く付き合うことで本当の良さを実感いただけるものとなっています。そして行く行くの将来には、HYSTERIC GLAMOURのアイテムもヴィンテージになってほしい。事実、ブランドの初期に発売した洋服が、コアなファンの間でそのような価値で捉えられているようで、作り手として嬉しく感じています。

機能的かつフレッシュなルックスで春・秋・冬の3シーズン活躍

エアフォースナイロンは、主に中綿入りの冬のアウターに向けた素材ですが、今シーズンは一枚仕立ての春アウターに採用しました。デザインのモチーフは、アメリカ軍の名作としてミリタリーフリークに高評価を得る、ライトゾーン(30〜10℃)用のナイロンフライトジャケットであるL-2Bです。その肩のエポーレットやライニングなどを削ぎ落とし、サッと羽織れる軽い着心地とスッキリとしたルックスへとモディファイし、腰を絞る裾リブも省いてコーチジャケット的なシルエットへと仕上げました。
数年前に同じカタチでタイトフィットのタイプをリリースしたのですが、たいへん好評で早々に完売となりました。新作は今の気分に合わせ、ややゆったりとしたサイズ感にリニューアルしています。先にも触れたように防風&撥水に富むので、まさにコーチジャケット感覚で春や秋はメインのアウター、厚手のニットやパーカなど合わせるインナー次第で寒い時季にも対応でき、3シーズン着回すことが可能です。

L-2B COACH JACKET

HGロゴ L-2B ジャケット(for MEN) ¥34,000 +tax
1950年代中期〜70年代に採用されていたアメリカ空軍のフライトジャケットであり、MA-1と類似するデザインをもちつつ中綿がないため、ストリートでも春&秋に人気が高いL-2B。それをモチーフにディテールや裏地を排し、コーチジャケットのようなシルエットにアレンジした一枚仕立てのライトアウター、またメタルバンドのロゴをオマージュしたバックプリントもアイキャッチに。
ヒネリの利いた新鮮なルックスながら、丈夫で確かなハリ感を備え、しなやか、防風性と撥水性に優れるエアフォースナイロンをはじめ、ヴィンテージスタイルのウォルデスジッパーの採用、さらにダメージの起点になりやすい縫い合わせがなく肌アタリも良好な手首の輪編み二段リブなど、本格ミリタリー仕様も随所に再現。紹介のカラーに、グレイッシュなライトカーキを加えた全5色をラインナップ。

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