Tabloid vol.72 release⠀ Tabloid vol.72 release⠀ Tabloid vol.72 release⠀

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Special Dialogue:
RICO MORISHITA x NOBUHIKO KITAMURA

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Dorothy Hendricksの森下璃子と、
20年来の親交を持つ北村信彦との対談が実現。 〈DOROTHY HYSTERICKS〉と名付けられた今回のコラボレーションには、
単なる協業を超えた、互いの感性の共鳴が息づいている。 対談の舞台は、北村が“TEMPLE”と呼ぶプライベートアトリエ。
制作の背景から、ここでしか語られないエピソードまで、
二人の関係性とともに紐解いていく。

Interview & Text: Hiroshi Kagiyama Photos: Ton Zhang

――今回のコラボレーションはどんな経緯で行うことになったんですか?

RICO:
NOBUさんの家に遊びに行った時に、Dorothyで最初に作った「ラメT」をNAOちゃんに持っていったの。そしたら次の日にNOBUさんから写真が送られてきて、うちのロゴの周りにステッカーがいくつか貼ってあって。それがすごくかわいくて、「このTシャツほしい!」って言ったら、「じゃあコラボしようか」って言ってくれて、今回一緒に作ることになったんだよね。
NOBU:
80年代に、James Lebon(*イギリス人の映像作家)がセリーナっていう友達と一緒にうちに居候していた時期があって。その時に彼女がHYSのために描いてくれたイラストをステッカーにしていたんだよ。それがたまたま出てきて。最近ギターを始めてエフェクターを買ったけど、見た目が少し物足りなくてステッカーを貼ろうと思っていたら、ちょうどその横にRICOのTシャツがあったから貼ってみたんだよね。
RICO:
ラメTの元のロゴの色とも合っているし、雰囲気もすごくよくて。今回のコラボのロゴもDOROTHY HYSTERICKSで、HYSTERICのスペルをうちに合わせてくれているんだよね。

――そのバランスも絶妙ですね。

RICO:
それで、この1型だけだともったいないから、娘の名前の「らら」と名付けたTシャツを、同じ80年代のステッカーのイラストから起こして作って。あとはHYS側でもセクシーな女の子のグラフィックのTシャツを作ってくれたんだよね。
NOBU:
ステッカーで出てきたイラストのシリーズは、HYSの次の秋冬でも復活させて使うタイミングだったから、今回ちょうどいいかなと思って。

――来シーズンの服とも繋がっているんですね。
NOBU:
最近、若い連中がアトリエに遊びに来て、HYSのアーカイブを掘っていると、90年代以降にStephan(*Jay-Rayon)が描いたグラフィックは知っているけど、それより前の80年代のものにすごく面白がって反応しているんだよね。自分が21〜26歳ぐらいの頃に、イギリス人たちと一緒に作っていたものだから、今の若い世代と同じぐらいの年頃の人たちに響いているのも、どこか感覚が近いのかなと思った。
RICO:
ここのアトリエって、置いてあるもの全部が今回のステッカーと同じ空気感で、すごくHYSっぽいし、NOBUさんっぽいよね。だから今回の撮影もここでやりたいって思って。ここ、最高。

――ビジュアルの仕上がりも楽しみです。RICOさんはいつ頃からHYSを意識していましたか?
RICO:
正直、高校生ぐらいまでファッションに興味がなくて、ブランドとかまったく知らなかったけど、HYSのことは知っていて。高校生の頃、友達が『CUTiE』を読んでいて、CUTiE=HYSみたいなイメージがあった。おしゃれな子はHYSを着ている、みたいな。
NOBU:
モデルを始めるから東京に出てきたんだっけ?
RICO:
うん、モデルを始めた頃に『CUTIE』のHYSの撮影で、カメラは富永よしえさんだった。
NOBU:
それは覚えている。何年か前にNAOが持っている切り抜きからその記事が出てきたよ。
RICO:
その後も『CUTiE』のHYSの撮影で、ソニア(*パーク)さんや加茂(*克也)さんたちと一緒にロンドンロケに行かせてもらったの。22〜23歳ぐらいだったから、今のららと同じぐらいの頃だね。
NOBU:
ちなみに、ららを産んだのは何歳の頃?
RICO:
26歳。当時、碑文谷に住んでいて、James(*Lebon)とかMicheal(*Kopelman)とか海外から友達が来ると、NOBUさんが必ず一緒にいたよね。
NOBU:
80年代半ばから90年代は、東京にいるイギリス人とか外国人たちとずっと一緒にいたから。

RICO:
ららが生まれてからは、しょっちゅうNOBUさん家に遊びに来ていたし、本当に家族ぐるみの付き合いで。今回のコラボもそういう関係性があったから自然に生まれた感じだよね。
NOBU:
Dorothy Hendricksのグラフィックはららが描いているんだよね。自分としては彼女を幼い頃から見ているから、他のコラボとは違って2世代で、一緒にクリエイトできた特別なものに感じる。

RICO:
今回、HYS側で作ってくれたTシャツには、『オズの魔法使い』のDorothyをイメージした女の子のグラフィックに、Dorothyのアイコンでもある赤い靴と水色の靴下を履いた猫のイラストを足してもらったんだけど、それはららの手描きなの。
NOBU:
ららとStephanのイラストがここでひとつになるというね。男が大人になってもロボットとか怪獣が好きなのと同じで、女の子にもオズとか『不思議の国のアリス』みたいな世界観があるからね。
RICO:
うん、オズは幼い頃に映像で観てショックを受けて、それからずっと好きで、人形とかいっぱい集めていた。

――ちなみに、Dorothy Hendricksというブランド名はどんな由来から付けられたんですか?
RICO:
架空の人の名前にしたくて、名前はDorothyで決めたんだけど、苗字をどうしようかなって、ジンの『HENDRICK’S』を飲みながら考えたいた時に、ジミヘンと被るけど、スペルが違うからいっか、と思ってそうしたんだよね。ボトルも黒くてかっこいいし、それもあってタグは黒地のものと、ドロシーの赤いラメの靴から赤ラメタグの2つを作ったの。
NOBU:
それ、阿久悠と同じじゃん。ピンク・レディーに曲を書いていて、曲名をどうしようかと考えていた時に、たまたまDr.ペッパーが置いてあったから、『ペッパー警部』になったっていう。
RICO:
えーそうなんだ! でも、今回のDOROTHY HYSTERICKSって、まったく違和感がないよね。前からあったようにも感じるぐらい馴染みがいい。

――たしかにそうですね。今回もコラボで作られたアイテムもそうですが、Dorothyの服は、カットソーやスウェットなどにデイリーに着られるという印象ですが、服づくりはどんなことからイメージされていますか?
RICO:
メンズの服が好きだから、自分が着たい服を作っているの。だから、着心地がいい生地だけにしている。
NOBU:
アイテムもリラックスしたタイプで、ウィメンズ寄りだけど、どこかボーイフレンド的なテイストもあるよね。
RICO:
最初はロックTを作りたいというところから始めたんだよね。色味も、グレーイッシュブルーみたいな中間色が好きだけど、NOBUさんもそういうくすんだ色味のTシャツをよく着ているよね。ピンクだけどグレーピンクみたいな。メンズらしさもあるけど、どこか色気もあって、ユニセックスな印象の色味というか。
NOBU:
ちょっとエイジドで、元々はきれいだったけど着古したような、ね。
RICO:
男の人でもロックTを着るなら小さめを着るとかわいいかなと思ったから、最初はウィメンズサイズしか作ってなかったけど、NOBUさんとかに「もう少し袖が長かったら着たい」って言われたり、大きめを着たい女性もいるから、袖と丈を6センチ伸ばしたサイズも作るようになった。

――お聞きしていると、DorothyとHYSは共通点もあるし、そもそも相性がいいように感じますね。
RICO:
そう思う。だからHYSとコラボできるのはすごく嬉しい。
NOBU:
普通のブランドってシーズンごとにテーマを変えがちだけど、Dorothyは和菓子屋みたいに自分が気に入ったアイテムを色とか柄を変えながら、一貫して作り続けていくわけで。でも、これからは、そういうちゃんと貫いたものづくりがよくなっていく時代になると思うけどね。だから、RICOが今の服作りを20年、30年作り続けていけば、それがひとつのスタンダードになって、老舗になっていくと思う。
RICO:
20年…、できるかな(笑)。でも、HYSもそういう一貫したものづくりでやっているよね。
NOBU:
無理にグローバルに広げていくことはしないよね。
RICO:
もし、次回もこのプロジェクトがあるなら、その時はこのアトリエでNOBUさんと一緒に過ごさせてもらって、ここに置いてあるものからアイデアを探していくのも楽しいかもしれない。
NOBU:
いいね。ここに置いてあるものは、基本的に値段とかじゃなくて、自分が63歳になっても捨てられないものだからね。

――今回のコラボはもとより、続編も期待しています。ありがとうございました!

RICO MORISHITA

森下璃子 1990年代後半からモデルとしてファッション誌や広告などで活躍。結婚後はモデル業を退き、育児の傍らでUNDERCOVERのキッズラインのデザインを高橋盾氏とともに手がけた。2021年、子供服と大人のユニセックスな日常着のブランドDorothy Hendricksを始動。グラフィックは娘でありモデルの高橋ららが手がけている。

北村 信彦

Designer

1962年東京生まれ。
東京モード学園を卒業した 1984 年、(株)オゾンコミュニティに入社。
同年、21 歳で HYSTERIC GLAMOUR をスタート。
10代半ばから猛烈にアディクトするロックミュージックを礎に、ブランド設立当初ロックとフ ァッションの融合をいち早く見出したコレクションを提案。
ソニック・ユースやプライマル・スクリーム、パティ・スミス、コートニー・ラブをはじめとして数多なアーティストたちと親交を深める。
一方、ポルノグラフィティやコンテンポラリーアートなどにも傾倒、その感性はHYSTERIC GLAMOUR の代名詞の1つでもある T シャツでも表現している。
また、テリー・リチャードソンや森山大道、荒木経惟をはじめとする写真作家の作品集を自主制作・出版するなど、現代写真界にも深く携わる。