HYSTERIC GLAMOUR NFT PROJECTS 2025  HYSTERIC GLAMOUR NFT PROJECTS 2025  HYSTERIC GLAMOUR NFT PROJECTS 2025 

HYSTERIC GLAMOUR NFT PROJECTS 2025  HYSTERIC GLAMOUR NFT PROJECTS 2025  HYSTERIC GLAMOUR NFT PROJECTS 2025 

HYSTERIC GLAMOUR NFT PROJECTS 2025  HYSTERIC GLAMOUR NFT PROJECTS 2025  HYSTERIC GLAMOUR NFT PROJECTS 2025 

INTERVIEW

Talking about “BOOTLEG LP”
Johan Kugelberg & Nobuhiko Kitamura
with Natsuki Kato (Luby Sparks) PART 1
サブカル蒐集家のヨハンが取り憑かれた「ブートレグLP」とは?

Share :

X Facebook

1960〜80年代のROCKやPUNKのサブカルチャーから生まれた印刷物をはじめとした膨大なコレクションを蒐集し、ニューヨークのプロジェクトスペース「Boo-Hooray」を主宰するヨハン・クーゲルベルグ。北村と長年にわたり親交のある彼が、2024年にHYS40周年で行った企画展に続き、第二弾となるエキシビションを渋谷店で開催。今回は、「ブートレグのヴァイナルLP」に焦点を当てたコレクションを展示・販売。 そんなディープで激レアなカルチャーについて、展示初日のHYS渋谷店でヨハンと北村、Luby SparksのフロントマンであるNatsuki Katoが進行役に加わり、トークセッションが繰り広げられた。今回は特別に前編と後編に分けてお届けします!

Interview & Text: Hiroshi Kagiyama
Photographer : Minami Sakamoto
Translation: Natsuki Kato(Luby Sparks)

カルチャーの末端だからこそ、尖った新しいアイデアが芽生える。

 

NATSUKI:

今回のブートレグLPとは一体どんなものなんでしょう?

JOHAN:

NOBUと僕らの世代にとって、ブートレグというカルチャーはすごくミステリアスで、アウトローで、自由奔放なものだったんだ。今回、NOBUと僕はお互い初めて買ったブートレグの話をしたんだけど、NOBUにとって最初のブートレグはThe Whoで、僕にとっての最初はIggy And The Stoogesのものだった。そこでNOBUが話した重要なポイントは、それ以前に僕らの好きなバンドはライヴアルバム自体をリリースしたことがなかったということ。ところが実際にライヴに足を運ぶと、パフォーマンスの熱量はスタジオ音源よりも激しくてパワフルなんだと思い知らされた。The Whoなんかはまさにその一例だよね。

NOBU:

そうだね。自分も中3か高1ぐらいの頃、The Whoの2枚組みのカラーヴァイナルのブートレグを買ったのが最初だった。

NATSUKI:

そもそも、ブートレグのレコードは当時どのように広まっていったんですか?

JOHAN:

僕がコレクターとして常に興味がそそられているのは、レコードやポスターといったカルチャーにおける「モノ(物体)」の持つ有体性なんだ。それはNOBUとHYSが突き詰めていることにも似ていると思う。小さなアンダーグラウンドシーンやミステリアスなサブカルチャー、すべてはいつだって水面下に存在していた。だから、ブートレグというカルチャーも『ローリング・ストーン』誌や、その他の雑誌の誌面で見つけられるようなものではなかった。

 

NATSUKI:

つまり、よりニッチでアンダーグラウンドなファンの間で広まっていったんですね。

JOHAN:

こういった曖昧なモノが持つ神秘とカルチャーの末端でこそ、尖った新しいアイデアが芽生えるということだよね。だから正直ブートレグは、ある面では違法的な、ただのゴミでもあるんだ。
当時、Neil Youngがレコード屋に行って、自身のブートレグを見つけると超怒ったらしい。「なんでこんなゴミを売ってるんだ、俺には金も入らないんだからな」って(笑)。その一方で、彼のファンは「1972年のライヴのアウトテイク音源を聴けるなんて!」と歓喜した。ブートレグLPにはそういう緊張感があるんだ。しかも、レコード会社のことを好きな人は誰もいない。僕はレコード会社で働いていたこともあるんだけど、自分にとって好きな仕事ではなかったね。

NATSUKI:

自分もミュージシャンなので、例えば納得がいっていない演奏のライヴ音源を勝手に録音されるのは嫌だったり、恥ずかしいという気持ちはよくわかります(笑)。でも、時にファンの熱量が、レコード会社による公式リリースのクオリティを超えることもあり得ますよね。

NOBU:

ブートレグって、愛と犯罪のちょうど間の立ち位置のようなものかもしれない。

 

NATSUKI:

なるほど。そもそも誰が最初にブートレグLPを作ったんですかね?

JOHAN

最初のブートレグLPとして存在するのは、1969年。今回展示したBob Dylanの『Great White Wonder』という2枚組LPなんだ。彼がThe Bandとともにウッドストックで演奏したたくさんのアウトテイクが収録されている伝説的な音源だよ。その当時はまだアメリカの著作権法にこの音源は制定されておらず、発売当時は完全に違法というわけではなかった。

NATSUKI:

いわばグレーゾーンのギリギリで作られたものだったんですね。

アーティストもレコード会社もコントロールできなかった時代に生まれた産物。

 

JOHAN:

カリフォルニアのバカどもが勝手にプレスしたんだよ。彼らはLAのサンセット・ストリップにあるタワーレコードに行って、「1枚10ドルだよ、何枚ほしい? 400枚? それならこの場で現金で支払ってくれ」といった具合で手売りしていったんだ。結果、このアルバムは爆発的に売れて、南カリフォルニアだけでも1万枚売れたって言われているよ。
その後、他の富裕層のヒッピーみたいな連中も、Bob DylanやThe ByrdsThe BeatlesThe Rolling Stonesなどのブートレグをどんどん買うようになったんだ。おそらく世界で最も多く存在するブートレグはThe Rolling Stonesで、レコードの時代には何百、何千、何万というブートレグがあった。すると、この異常なカルチャーに対して、すべてのレコード会社が法定代理人を付けて、すぐさま法律を変えて潰さなければならないとなった。法律が変わるのはかなり早かったけど、時すでに遅し。ブートレグはすでに雪だるま式に大きく広がっていって、面白くもないアーティストのものまで出回るようになったんだ。
今回、HYSでの展示を企画したのは、人生の多くの時間をレコード屋で過ごしてきた僕が、生涯を通じて集めたレコードのコレクションを見てもらうためでもある。展示した会場を見渡せば、たとえ1000軒のレコード屋に行ったことがある人でも、ほとんど見たことのないものばかりのはず。そして、今これらがこの会場にあるのは、アーティストもレコード会社もコントロールできなかった時代があったからこそなんだ。

NATSUKI:

アーティスト自身がコントロールできない、というのがポイントですね。僕もタワーレコードで長い間働いていた経験があるんですが、確かにどれもまったく見たことのない奇天烈なレコードジャケットばかりです。

JOHAN:

クレイジーな奴らが、破茶滅茶だけどかっこいいアートワークを勝手に作ったものだからね。スキンヘッドのThe Beatlesとか、手首を切ったLou Reed、普段はエレガントな女性の写真をジャケットに徹底して使っているRoxy Musicのジャケットには、コカインで敷き詰められた女性のひどい絵が描かれていたり(笑)。

 

NATSUKI:

そもそもこういった音源はどのように流出していたのですか?

NOBU:

音源としては、ファンが愛情を込めて作るものと、サウンドスタッフがミキサーの卓でしっかりミキシングされた音源を小遣い稼ぎに勝手に作ったものと、2つのパターンが存在するんだよ。

JOHAN:

そのどちらにもグレーゾーンはあると思う。この展示でお見せしているのは、僕も含めて誰もがファンとして一度はやったことのあるような録音物だ。そこに自前のレコードスリーブという要素が加わって、ブートレグを唯一無二のものにした。いくつかのブートレグには、変わったレコードスリーブが付いているんだ。

NATSUKI:

たとえば1つのブートのレコードがあって、ジャケットのアートワークは1種類だったんですか?

JOHAN:

いや、全部違うんだよ。それぞれ1点ものでクレイジーな加工がされているものばかりなんだ。

NOBU:

たいてい、ブートレグのヴァイナルは白いジャケットに、制作者が紙に何かを描いて、そのコピーした紙をジャケットに貼っただけのものが大半だった。今回展示したJohanのコレクションみたいに、ジャケットに直接描いていたり、シルクスクリーンで刷ったりするものを自分はほとんど見たことがない。

NATSUKI:

そうなんですね。その情報をどこで入手していたんですか?

NOBU:

自分はブートのレコード屋で探すとか、噂で聞いたりして情報を得ていた。

JOHAN:

数年前、レコード屋を経営している20人くらいの友人に電話して、「もし本当に見たこともないすごいブートレグ品が入ってきたら、クレジットで全部買うから送ってくれ」って話したんだ。オタク仲間のショッピングネットワークだね(笑)。

NOBU:

今回展示したSex PistolsとかThe Clashは、デビューアルバムが出る前にブートレグがプレスされているんだ。ということは、そのライヴを観た地元の連中は知っているんだけど、アルバムが出る前だから、世の中の人たちは存在すら知らないバンドなわけで。ある種の犯罪行為なんだけど、音楽ファンにとっては宝物で、そこが面白いところだよね。

NATSUKI:

面白いですね。ちなみに、それらはライヴ音源かスタジオ録音のどちらですか?

JOHAN:

ピストルズの『Spunk』はデモ集で、The Clashは結成されたばかりの1976年秋のライヴアルバムだよ。この時のThe Clashはまだ5人組で、PUNKというよりパブロックのようなサウンドで実に興味深いよ。

NOBU:

ロンドンでは、PUNKが生まれる以前はパブロックが存在した音楽カルチャーだからね。

 

JOHAN:

Blondieのドラマーのクレム・バークが、ロンドンからDr. Feelgoodの1st LPを持って帰ってきて、パーティでみんなに聴かせたんだけど、そこにはRamones、Blondie、Televisionのメンバーたちがいて、その全員がDr. Feelgoodのモノクロジャケットのレコードを初めて聴いた。パンクはどこで生まれたのか? ということに対する答えはないんだけど。 今回展示しているJimi Hendrixの『Sky High』というレコードがある。これはのちにThe Flamin’ Grooviesや、Iggy and The Stoogesの『Metallic K.O.』をリリースしたことで有名になるマーク・セルマティが、レーベルのSky Dog Recordsからリリースした最初のレコードなんだ。彼は「Open Record」というパリで最もヒッピーなレコード店も経営していて、New York DollsやStoogesとも友人だったんだ。このレコードにはJimi Hendrix、Johnny Winter、そして超酔っ払いのJim Morrisonが卑猥な言葉を叫んでいるサウンドが収録されていて、正直ギターもシャウトも酷い音なんだ。でもこのブートレグレコードの売上を元手にして、Sky Dog Recordsは帝国を築き上げていくんだ。PUNK初期の重要な歴史の一つだと思っているよ。

NOBU:

ブートを作って資金を稼いで、それからレコード会社を作ったというね。たとえば、90年代初頭にヒップホップが人気が出始めた頃、日本のヒップホップアーティストファンの間で韓国生産のグッチのロングスリーブTシャツとか、ルイ・ヴィトンのモノグラムのレコードボックスが大流行していた。ここ数年の90sリバイバルで、グッチが当時のブートTシャツをオフィシャルで発売したんだけど、それってブートレグのレコードのカルチャーと同じだと思うんだ。

――後編(PART2)につづく……。

Johan Kugelberg

ヨハン・クーゲルベルグはニューヨーク在住のキュレーター、作家、アーキビスト。
レアブック・スクール教授。スクール教授。

主な著書に ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・ニューヨーク・アート『Punk An Aesthetic』(ジョン・サヴェージとの共著、Rizzoli刊)、 『True Norwegian Black Metal』(Vice)、『Beauty is in The Street』(Four Corners)。
また、ポップカルチャーの分野で数多くのアーカイブを手がける。
イェール・パンク・アーカイヴ、コーネル・ヒップホップ・アーカイヴを設立。
コーネル・ヒップホップ・アーカイブ、ニューヨーク公共図書館ファブ・ファイブフレディ・アーカイブなどを設立。

Luby Sparks

Natsuki (ba/vo) Erika (vo) Sunao (gt) Tamio (gt) Shin (dr)。

2016年3月結成。2018年1月、Max Bloom (Yuck) と全編ロンドンで制作したデビューアルバム「Luby Sparks」を発売。2019年9月に発表したシングル「Somewhere」では、Cocteau TwinsのRobin Guthrieによるリミックスもリリースされた。2022年5月11日にMy Bloody Valentine、Rina Sawayamaなどのプロデュース/エンジニアを手掛けるAndy Savoursを共同プロデューサーに迎え、セカンド・アルバム「Search + Destroy」をリリース。同年6月には、初のワンマンライブ「Search + Destroy Live」(WWW X) も行い、ソールドアウトとなった。10月にはタイでの海外公演、2023年3月全米7都市にて「US Tour 2023」、9月「Strawberry Music Festival 2023」を含む中国全7都市「China Tour 2023」、10月韓国、11月インドネシア「Joyland Festival」へ出演を行うなど海外での展開も積極的に行なっている。
2024年5月にリリースした「Songs for The Daydreamers」EPに続き、2025年1月24日にも「Songs of The Hazy Memories」EPをリリース。

北村 信彦

Designer

1962年東京生まれ。
東京モード学園を卒業した 1984 年、(株)オゾンコミュニティに入社。
同年、21 歳で HYSTERIC GLAMOUR をスタート。
10代半ばから猛烈にアディクトするロックミュージックを礎に、ブランド設立当初ロックとフ ァッションの融合をいち早く見出したコレクションを提案。
ソニック・ユースやプライマル・スクリーム、パティ・スミス、コートニー・ラブをはじめとして数多なアーティストたちと親交を深める。
一方、ポルノグラフィティやコンテンポラリーアートなどにも傾倒、その感性はHYSTERIC GLAMOUR の代名詞の1つでもある T シャツでも表現している。
また、テリー・リチャードソンや森山大道、荒木経惟をはじめとする写真作家の作品集を自主制作・出版するなど、現代写真界にも深く携わる。