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INTERVIEW2020.05.09

スタイリスト・野口強が最新アイテムに込めた想いとは?

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日本を代表するトップスタイリスト、野口強氏。HYSTERIC GLAMOURとの親交も深く、長年にわたる信頼関係、互いへのリスペクト&シンパシーから生まれるコラボレーションアイテムは、これまでも多くのファンを魅了してきました。その最新作は、ネクストトレンドとして注目を集めるブーツカットのデニムパンツ。プロダクトに込めた思いや製作秘話など、あまり語られることのないバックストーリーに迫ります。

ブランドの世界観を守りながら、常に新しいモノ、面白いモノを

「HYSTERIC GLAMOURとの出会いは、かれこれ30年以上も前のこと。あの頃から確固たる世界観をもっていて、大きく進化はしているけど、根本は一貫して変わっていない。そうしたブレない姿勢こそが最大の魅力であり、最もリスペクトしている点です。日本、いや海外を見渡しても、こんなブランドは世界中どこにもない。まさしく無二の存在ですね。
初めてのコラボレーションは2005年だったと記憶しています。以来、不定期ながらも、現在まで様々なアイテムをカタチにさせていただきました。毎回その時々のトレンドやファッションの動向を読み取りながら、互いにアイデアを出し合うのですが、常に新しいモノ、面白いモノを提案しようと取り組んでいます。
ただHYSTERIC GLAMOUR のファンは、既に揺るがないスタイルを持っている方が多い。ですから、いくら世間で流行っていても、また自分がイチ押しするアイテムでも、ブランドの世界観から逸脱するものは作らない。なかでもシルエットは、特に重きを置いているポイントです。とりわけタイトフィットのシャープなカッティングにはブランドの美意識を感じますし、ユーザーの目も肥えているので、いっさい妥協することなく徹底的に磨きを掛けています。

また職業柄なのか、スタイリングまで視野に入れて考えることが多いですね。ひとつの共通するテーマのもとに、アウターとインナーとボトムスを製作して、カプセルコレクションとして発売しているのもそのためです。同時に、洋服単品で主張するデザインではなく、コーディネイトへの取り入れやすさも心掛けています。HYSTERIC GLAMOURファンのワードローブに素直に溶け込む、そんなプロダクトを目指していますし、日頃から当たり前に着るアイテムになってくれたら嬉しい」。

ブーツカットのブルーデニムが改めてフレッシュに思える

「今回、ブーツカットデニムを作ろうと考えたのは、HYSTERIC GLAMOURからのアイデアでした。インラインでも'70sテイストのフレアパンツをプッシュしているし、昨シーズンのコラボで発売した細身のブーツカットが想像以上に好評だったことも理由のひとつです。加えて、女性と違ってメンズファッションはトレンドの移り変わりがあまりなく、正直なところ最近は停滞している感もある。そろそろスキニーパンツやワイドパンツも食傷気味なので、次なる一手としてブーツカットデニムは面白いと思った。事実、トレンドの牽引役であるラグジュアリーブランドのコレクションを見ても'70sからのインスパイアは明らかですし、ストリートでも久々にブレイクの兆しがある。このタイミングで打ち出すのは非常にアリだと。
さらに言えば、近頃はデニムというとブラックに人気が偏っている。かく言う自分も、もう何年もブラックデニムばかり穿いているので、“野口 強=ブラック”といったパブリックイメージを持たれることも増えた。けど、もちろん昔はよく穿いたし、やはりブルーデニムは基本。原点回帰やカウンターを狙っているわけではないけれど、ここでリリースするのは意外性があり、改めてフレッシュだと思ったんです。そして思い出したのが、2005年に発売したHYSTERIC GLAMOURとの最初のコラボモデル。細身のタイプでしたが、あのときもブーツカットのブルーデニムだった。その右のフロントポケットの下に自分の手書き文字をプリントしていたのですが、今回の新作ではセルフオマージュ的に同様のディテールワークを取り入れました。

先ほども触れたように、今回も一番のこだわりはシルエットです。昨シーズンのコラボモデルが細身のブーツカットだったのに対し、今季は太めに仕上げました。男らしいけど野暮ったく見えない、絶妙な太さになっています。あとはクリーンな濃紺のリジッドより、こなれたヴィンテージライクな表情のほうが今の時代に合っているし、より取り入れやすいので、エイジング加工を施しました。ただし汚い印象にならないよう、色落ち&ダメージの加減も綿密に調整するなど、自信の逸品となっています。
トップスにはTシャツの裾をタックインして、アウターを羽織るならショート丈のレザージャケットなどタイト&コンパクトなタイプを。足元はローテクスニーカーが今っぽいバランスになると思います」。

焼き直しではなく、今の感覚で新しい'70sを楽しんでほしい

「自分は、1970年代のファッションやカルチャーをリアルタイムで体験した世代なので、HYSTERIC GLAMOURが打ち出す'70sのリバイバルスタイルは、ノスタルジーとともにシンパシーを覚えます。だけど、昔を知らない若い世代には逆に新鮮で格好いいものに映るようで、それが何だか嬉しくも感じます。これから本格的に盛り上がるだろうけど、もっと当時のことを掘り下げて深いオシャレを追求しつつ、往年の焼き直しではなく、今の感覚で自由にアレンジすることも大切だと思う。2020年代の新しい'70sを作り上げて楽しんでほしいですね」。

for MEN
TSUYOSHI NOGUCHI × HYSTERIC GLAMOUR
Boot-cut Denim Pants " Fantasy Fucks "

¥34,000 +tax

スタイリスト野口強氏とのコラボレーションによる最新作は、〈ソニックユース〉のギター&ボーカルであるサーストン・ムーアが愛用する一本をイメージ。生地には1970~80年代のヴィンテージを再現した、12.5オンスのオールドブルーデニムを採用。ワタリから膝、そして足元まで少しゆとりをもたせた太めのブーツカットとなり、色落ちをはじめ、クラッシュ&リペアなど高度なエイジング加工を駆使し、長年穿き込まれたようなリアリティあふれる表情を追求。さり気ないアイキャッチになる右フロントのプリントは、〈ソニックユース〉が雑誌のインタビューで語った「Fantasy Fucks, Reality Sucks」の言葉を、野口氏自身の手書きからトレースしたもの。

野口強

スタイリスト。ファッション誌や広告を中心に活動。デニムブランド〈マインデニム〉のディレクションも手掛けている。

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